Report 4

IoT × ロボット

ロボット適用範囲の拡大、システムインテグレーションコストの削減、システムのトータルライフコスト削減によって、より社会的価値の高いロボットが期待される。」

(一般社団法人 日本ロボット工業会 専務理事 冨士原 寛氏)

「何のために人型ロボットが存在するのか?コミュニケーションのためです。人型ロボットが人のような動きをしていると、人は感情移入して愛着を持つわけです。」

(株式会社ロボ・ガレージ代表取締役社長 高橋 智隆氏)

「無人運転に対して懐疑的な意見もあるでしょうが、我々は間違いなくドライバーレスの時代がくると確信しています。」

(株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安 功氏)

◆「日本の産業用ロボットの現状と展望」

(一般社団法人 日本ロボット工業会 専務理事 冨士原 寛氏)

− そもそも、ロボットはどんなものなのか。

ロボット一つで非常に複雑になっているシステムで、センサー、知能制御、移動機構、駆動機構、操作性など幅広い技術の統合である。例を見ると、

・センサー技術:視覚センサー、超音波センサー、力センサーなど
・通信技術:位置検出、通信セキュリティ、通信安定化など
・ソフトウェア技術:人工知能、画像認識、音声認識、姿勢制御、協調・分散制御など
・運動技術:マニピュレータ、車輪、クローラ、海中、吸着など。
・駆動関連技術:運動機能を動かすモーター、減速機構、人工筋肉など
・材料技術:形状記憶合金、ガーボン素材、人工皮膚など駆動機構を支える材料。
・バッテリー技術:燃料電池、リチウムイオンバッテリー、省電力化など
・コミュニケーション技術:ヒューマンインターフェース、マシンコミュニケーション
・安全性と耐環境性技術

こうした幅広い技術を統合して産業用ロボットあるいは、非産業用ロボットの完成品が出来上がる。

− 産業用ロボットの適用分野とマーケット動向
(一社)日本ロボット工業会 専務理事 冨士原 寛氏
(一社)日本ロボット工業会
専務理事 冨士原 寛

ロボット自身が一つ複雑なシステムだが、ロボットは全体システムの中に組むことで初めてロボットとしての価値、つまりソリューションビジネスが生まれる。例えば、液晶製造装置、半導体製造装置、搬送ライン、飲料工場、包装機、電子組み立てラインなどが挙げられる。

ロボットの主要ユーザ産業は自動車、電子機械産業であるものの、今日では電子機械産業向けの電子部品実装(プリント基盤実装)、半導体実装、クリーンルーム及び組み立てなどが出荷額の過半を占めている。特に液晶基盤や半導体ウエハの搬送などに使われるクリーンルーム用ロボットが着実に成長している。

最新のトピックとして、人と協業するロボットが普及に向けて動き始めている。従来の産業用ロボットは柵に囲まれて稼働する分離型設置となっている。人と共存するための安全技術の確保により、安全柵なしで省スペース・時間短縮・コスト削減を実現したロボットが開発されおり、フレキシブルな生産ライン構築を可能にした。

出荷を見ると、2016年で約7割が輸出でアジア地域向けは62%に達している。世界の生産工場として中国が急成長し国別でトップの約35%、用途別で電子部品実装用が48%となっているほか、溶接などの自動車向け用途も拡大している。

さらに、国際ロボット連盟(IFR)の調査では、中国の市場予測は抜きん出ており、2016年の数値の2倍をはるかに超える数値になっている。

− 産業用ロボットの歴史と展望

80年代初頭、産業用ロボットの黎明期にあたり、急速にロボットが普及し第1次ロボットブームとなった。90年代後半ITバブルのデジタル需要により第2次ロボットブームが起きて2006年は過去最高となる生産額を実現した。2009年のリーマンショックを経て2010年から急回復し、2015年2月政府が「ロボット新戦略」を策定した。5年間でロボット市場規模を現状の6500億円から2.4兆円(年間)へ拡大する方針で、世界に先駆けて新たな産業革命を起こすと宣言した。

それを受けて、ロボット適用範囲の拡大、システムインテグレーションコストの削減、システムのトータルライフコスト削減によって、より社会的価値の高いロボットの創出が期待される。

「ロボット新戦略」の中身を見ると、「ものづくり・サービス」「農業」「介護・医療」「インフラ・災害対策・建設」など幾つかの分野がある。とくに、サービスロボットについては、プロトタイプがたくさん作られているが、市場にマーケットインはまだ少ない。「サービスロボットのベストプラクティス100例」を選定し促進する方針だ。また、ロボットの頭脳(AI)、目(センサー)、指(制御)の高度化、段取り作業や接客業の裏方などへロボットを導入し、労働生産性を2%以上向上させ競争力強化を実現する狙いだ。

続いて、サービスロボットを代表するコミュニケーションロボットや自動運転について見てみよう。

 

◆「スマホの次は?」
  − コミュニケーションロボットとしての人型ロボット

(株式会社ロボ・ガレージ代表取締役社長 高橋 智隆氏)

(株)ロボ・ガレージ 代表取締役社長 高橋 智隆氏
(株)ロボ・ガレージ
代表取締役社長 高橋 智隆

ロボットへの期待が高まるとともに、将来ロボットのお手伝いさんが家にやってくると期待するかもしれない。お手伝いさんロボットはたぶん、未来は家にやってこない。人型ロボットは運動音痴で作業に向いていない。洗濯物は一つも畳めません。掃除するなら、ルンバのような形のロボットがいい。そもそも一つの機械に複数の機能を持たせる意味はあるか。

では、何のために人型ロボットが存在するのか?コミュニケーションのためだ。会話することで、生活パターンや好みを把握し実用ロボットに命令する。ホームセキュリティを稼働させたり、テレビの録画をしたり、ネットから情報をとったり、SNSをしてくれたり、コミュニケーションの窓口、つまりIoTのハブとなって働くものだ。

とは言え、実はいまはスマホで全部できてしまう。スマホの成功はインターフェースを改善したことによるもので、つまりタッチスクリーン、モーションセンサー、そして音声認識。ところで、最近音声認識の性能は高くなってきたものの、あまり使われていない。考えてみると、私たちは普段、金魚やぬいぐるみに声をかけたりするが、四角い板系に喋ろうと思わないだろう。感情移入の問題だ。人型ロボットが人のような動きをしていると、効率や利便性、賢さなどではない「愛着」を持つわけだ。

シャープさんと一緒に三年をかけて開発したロボホンは、そのようなコミュニケーションロボットだ。「やっと喋れるようになったぁ!」と口を開けて喋り始めたロボホンは、電話もメールもできるし、写真をとってプロジェクターで投映することもできる。天気やニュースもわかるし、歩いたり踊ったりできる。踊るために全13軸サーボモータを使って開発し、おそらくコミュニケーションロボットとして、もっとも運動性が高いだろう。

コミュニケーションロボットを作るのに、日本の漫画、アニメ、ゲームで培った「かわいい」感性と、テクノロジーに合わせることが必要になる。アメリカのシリコンバレーではまだスマートスピーカーくらいしかなくて、「愛着」というものに理解はまだ足りてない気がする。そういう意味では、日本、中国を始め、文化が似通っているアジアは、コミュニケーションロボットの市場を作ってリードする形になるのではないかと思う。

 

◆ DeNA自動運転技術の取り組み

(株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安 功氏)

(株)ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安 功氏
(株)ディー・エヌ・エー
代表取締役社長兼CEO 守安 功

DeNAはミッションとして「Anything, Anywhere. あらゆる人やモノが、安全・快適に移動できる世界を。」を掲げて自動運転(オートモーティブ)を取り組んでいる。その背景として下記のような日本の課題がある。

・700万人の買い物弱者、2020年人口の約3割が65歳以上
・宅配サービスの一部縮小
・5%前後と言われる自家用車の稼働率
・タクシー業界の人手不足
・年間約50万件の交通事故

こうした課題は、今後の日本経済の足かせになるだろうとのことから、交通を日本経済の本質的な課題だと捉え、絶対に解決していこうとしている。具体的には「既存有人サービスx インターネット・AI」と「次世代無人サービス」の二つに分けて取り組んでいる。

無人運転に対して懐疑的な意見もあるが、我々は間違いなくドライバーレスの時代が来ると確信している。既存有人運転から次世代無人運転に変わると、車両製造・販売、損害保険、整備・リース・中古車流通、駐車場・信号・高速道路など、サービスやインフラも含めて大きな変革が起こるだろう。

Auto Tech(オートテック)時代モビリティ業界構造において、DeNAはモビリティサービスプロバイダーに特化して事業を展開している。モビリティサービスプロバイダーは、ユーザ(配車依頼・支払いなど)、オペレーター(電話対応・予約管理・危機対応など)、車両(ルート設定・車両制御システム連携など)、クラウドシステム(車両・決済・車両管制など)などを情報システムから作っていく。それが自動運転システムや車両、インフラなど各分野を担う企業同士との密接な連携が必要不可欠になる。

 

現在、日産自動車さんと提携してタクシーの無人化サービスや、私有地における無人運転バス「ロボットシャトル」、物流分野においてヤマト運輸さんと提携して「ロボネコヤマト」を開発している。

日産自動車さんと提携してタクシーの無人化サービスは、自動運転技術はかなり進化しており2020年頃を目指してサービスの展開を計画中。ユニークなところは、万一道路事故などでタクシーが立ち往生するなど、不慮のタイミングにおいては遠隔操作して行動させるような取り組みを進めている。

「ロボットシャトル」は、テーマパークや大学などの私道、私有地におけるサービスを昨年から展開している。決められたルートを周回する。センサーを搭載し、障害物があったら止まる。障害物がなくなったら動くという、ハイテックではなくローテック的なものとなる。

ヤマト運輸さんと取り組んでいる「ロボネコヤマト」は、オンデマンド配送サービスと買い物代行サービスを提供する予定。オンデマンド配送サービスは、現在有人で稼働中だが、不在率を無くすと同時に、将来的に無人配送の実現により人手不足を解消する。車両について、ロッカーみたいになっており、指定する場所に車が到着し、人がスマホ操作で荷物を受け取る仕組みだ。また、買い物代表サービスも、同じように利用できる。買い物できない高齢者の問題を解決する切り札となるだろう。

このように複合的なサービスであらゆる人やものが、安全・快適に移動できる世界を実現できるようになればと思う。

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